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ショパン国際ピアノコンクール2021が始まりました

[2021.10.04]

ショパン国際ピアノコンクール2021が昨日より始まりました。日本時間の夜と真夜中にライブ配信されているようです。

昨日は現地時間で午前の部が日本時間の夜に配信されていますので生放送で見ることができました。

先日テレビを買い替えてYouTubeの配信をテレビ画面で見ることができて本当に臨場感がありワクワクして見ることができました。

演奏者の手元、表情までくっきりと見えて演奏会場にいるより良く見えることができるのではないかと感じました。

演奏順はアルファベット順のようで、そのためか同じ国の人が続くことがあります。

実は日本時間の本日10月4日はSから始まる名前の演奏者が出演するようで、日本人ばかりの出演となります。

現地での午前の部は日本時間の夜に配信されますので、皆様も見ることができるのではないでしょうか?(下記にリンクをはりつけておきます)

10/4(月)17:00 進藤実優
https://youtu.be/Ch5jVN3dvZ8

10/4(月)18:00 反田恭平
https://youtu.be/Ch5jVN3dvZ8

10/4(月)19:30 角野隼斗
https://youtu.be/Ch5jVN3dvZ8

10/4(月)21:00 竹田理琴乃
https://youtu.be/Ch5jVN3dvZ8

10/5(火)0:30 牛田智大
https://youtu.be/pVKE0r6s7Mw

日本人での有名人がほとんど出演するといった感じです。今月のクリニック通信ではショパンコンクールについてお話しましたので下記に改変して転記いたします。

クリニック通信10月号 ショパン国際ピアノコンクール2021

ショパンコンクールがはじまります

東京2020大会も閉幕し、季節は秋です。最近はコロナの感染者数も減少がみられ、私としても少しホッとしております。以前ブログにも書きましたが、いよいよ6年ぶりのショパン国際ピアノコンクールがポーランドの首都ワルシャワで開催されます。

これに先立ち7月には予備予選が行われました。151人の参加者のうち予備予選を通過した78名と予備予選免除の9名を加えた総勢87名で10月3日から1次予選が始まります。日本からは14名が1次予選に臨むことになります。前回と同様にコンクールの演奏は世界中に向けてライブ配信される予定で、大変楽しみにしています。

ピアノは実力差が出にくい

私は残念ながらピアノは「ねこふんじゃった」くらいしか弾けないのですが、娘が習っていることもあり、ピアノにはとても興味があり、ピアノ曲を聴くのも大好きです。7月の予備予選の配信も自宅で楽しく見ていましたが、当然のことながら全然弾けていなかったりミスが多くみられるような演奏者は皆無で、実力差はほとんどないように感じました。私はヴァイオリンを弾くこともあり、弦楽器部門のコンクールにも興味がありますが、ヴァイオリンのコンクールのほうが各奏者の実力差がはっきりと分かる気がします。

実力差ができくい理由は

ピアノコンクールでは、あらかじめ用意されている同じ楽器を使用しますから楽器による差はほとんどありません。ピアノはヴァイオリンなどの楽器と違い、打楽器的な要素が多いため「音色のちがい」というのも出しにくいように思います。さらに当然のことながらピアニストと呼ばれる演奏家たちは、アマチュアと比べてほとんどミスタッチがありません。私の印象では素人は、かかれた楽譜のうち7割くらい正しく弾いていれば上出来ですが、音楽の道に進む人は95%くらい正確に弾くべく練習を重ねていて、さらにコンクールでは98-99%くらい正確に弾いています(あくまで勝手な印象ですが)。そうなるとコンクールのなかで際立った違いを出すことは至難の業であるように思えます。実際、予備予選で素晴らしい演奏をし、次に進むのかなと注目していた出場者でも、結果をみると通過できていなかったり、またその逆もあったり、つくづくピアノの評価というのは難しいものだと思い知りました。

著名なピアニストで大きなコンクールで上位ないし優勝したような人でも、別のコンクールでは予選落ちということもざらにあるようです。もちろんその時のコンディションなどもあると思いますが、完璧レベルの戦いとなるとほとんど差もありません。ひょっとするとコンクールには審査員の好みや「運」といったものも大きく作用してくるのかもしれません。

ショパンコンクールはショパンに相応しいかが重要

ショパンコンクールというと、日本では世界一のピアノのコンクールというイメージがあり、ピアニスト世界一を決めるという印象があります。しかしこのコンクールで演奏するのはすべてショパンの作品ですから、ピアニスト世界一というよりは世界一のショパン弾きを選ぶという意味合いが強いのかもしれません。となると、その演奏者がショパンには相応しいかというところも大きなポイントだと思います

ピアノを弾くには女性より男性のほうが有利なのでは

前回は日本人の男性ピアニストはあまり見かけませんでしたが、今回は多くの男性ピアニストが残っています。ここ最近日本人の男性ピアニストの健闘が目立っており、ショパンコンクールと並んで三大ピアノコンクールと言われているチャイコフスキーコンクールでは2019年に藤田真央さんが2位、今年のエリザベート王妃コンクールでは務川慧悟さんが3位、阪田知樹さんが4位でした。先日終わったばかりのリーズ・国際ピアノコンクールでは小林海都さんが2位と、素晴らしい快挙に日本のピアノ界は大いに沸きました。

私は娘のピアノをみていて思うのですが、ピアノという楽器は男性の方が圧倒的に向いているように思うのです。手が大きいことは多くの音を押さえるのに適していますし、体が大きいことはオーケストラをバックにチャイコフスキーやラフマニノフなどのスケールの大きな協奏曲を大音量で弾くには有利です。2019年のチャイコフスキーコンクールではファイナリストに残った7人全員が男性で、今年のエリザベート王妃コンクールではファイナリスト6人全員が男性、リーズ・国際ピアノコンクールでもファイナリスト5名が全員男性でした。

その点からみると、ショパンの作品はそこまで大きな音量は必要ではなく、楽譜上でも大きな手が必要な作品は少ないので、女性ピアニストだから絶対的な不利というわけではなさそうです。

コンクールにおいて演奏者の評価は難しい

コンクールでよく思うのは、芸術を採点するということの難しさです。陸上競技の100M走では0.01秒でも速ければ勝ちは勝ちですが、芸術はそのような尺度では測れません。前回のショパンコンクールで優勝したチョ・ソンジンは1次予選から3次予選、本選とほとんどの審査員から常に最高評価を与えられてきましたが、ある審査員1名が1次予選から3次予選、本選とすべてに最低点での評価をしていました。ここまであからさまな評価はたまたまということはなく、完全にその人のことが”嫌い”ということになるのでしょう。“好き”か“嫌い”かで判断していいのかというと、もちろんそうあってはならないことですが、芸術というもの自体は結局は好きか嫌いかということになりますから、必ずしもダメとはいえない部分もあるのかもしれません。

しかし、“好き”“嫌い”を基準に判断していくと「審査員をされている先生に気に入られるために、門下生になる」いわば「コネ」が横行してしまうこともあるようです。実際にコンクールの審査員の先生の門下生ばかりが予選を通過し、上位入賞しているようなことが見受けられ、公平性が問われるところではあります。

コンクールの後が重要

コンクールに公平な評価基準というものは存在しませんし、コンクール自体に絶対的な価値を置く必要はないと私は思うのです。コンクールの結果がそのピアニストの運命を左右することがあるとしても、自分の信じた音楽を大事に奏で続けてほしいと切に思います。最近ではYouTubeをやSNSが発達して、自分の音楽を多くの人に届ける方法も沢山でてきました。コンクールの結果だけでやっていけるような時代ではないからこそ、その後の音楽活動が重要になってくると思います。

ライブ配信が楽しみ

そうはいっても、世界中の音楽ファンが待ちわびていた6年ぶりのショパンコンクールです。国歌斉唱、国旗掲揚はありませんが、世界中のピアニストがしのぎを削る闘いの場です。日本からも本選を目指して14人がワルシャワ入りします。ファイナルをめざして大いに盛り上がることを期待しています。皆さまもぜひライブ配信を楽しんでください。ライブ配信でチャットを利用し、演奏者へ応援メッセージも送ることができますよ!

(クリニック通信2021年10月号より)

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