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冬場の高血圧に注意してください

[2020.12.13]

冬場は血圧があがります

12月に入りだいぶ気温も下がってきました。気温が下がると今話題?の新型コロナウイルス感染症も増えてくるようですが、それ以外の急性疾患も増えてきます。当院にも12月に入って急性疾患のため緊急治療を要する方が以前より多くいらっしゃいます。冬場はもともと呼吸器疾患や循環器疾患が多い季節ですが、当院ではやはり循環器疾患が多いようです。

さて、冬に循環器疾患が多くなる原因はさまざまな理由がありますが、そのひとつに冬場は血圧が上がるということが挙げられます。

冬季は夏季と比べて5-10mmHgほど血圧が上昇する

こちらは季節ごとの血圧の変動ですが、これをみると冬季は夏季に比べて5-10mmHg程度血圧が高くなることが分かります。
当院でも高血圧の患者様が多く通院されていますが、自宅での血圧をみてみると11月ころから血圧が上昇してきています。なかには収縮期血圧で10-20mmHg程度上昇する方もおりこの場合は、降圧剤を増量することがあります。冬季の降圧剤の増量は一時的なもので春になると血圧も下がってくるため降圧剤を減量したり中止できる方もいらっしゃいます。

室温が下がると血圧が上がる

冬に血圧が高くなる原因はなんといっても気温です。気温が低下すると末梢血管抵抗が上昇して夏季よりも血圧は高くなります。これ以外にも交感神経活性の亢進やレニン・アンジオテンシン系の活性化など様々な要因が関与していると考えられます。

室内の温度と血圧の関係も知られています。例えば、こちらは住宅メーカーからの報告ですが、断熱性能がよい住宅では収縮期血圧が低くなるとの報告もあります。50歳以上で平均血圧が7.8mmHgも違うというのはある意味では降圧剤と同じような効果があると考えられます。

血圧が上昇すると心血管死亡が上昇する

 

それでは血圧が上がるとどのような問題があるのでしょうか?

こちらは血圧と心疾患の関係です。収縮期血圧が20mmHg上昇(拡張期血圧が10mmHg上昇)すると心血管による死亡が2倍となります。これは非常に大きな事実です。

12月、1月、2月は心疾患・脳血管疾患の死亡が多くなります

実際に季節ごとの心臓や脳血管疾患の死亡数をみると、12月、1月、2月は毎年非常に多くの方が亡くなっていることが分かります。

 

どのような治療をしたらよいのでしょうか?

それで冬場の高血圧についてはどのようにすればよいのでしょうか?
上記で述べたように室温の低下が朝方の高血圧(モーニングサージ)をきたすことになるため、朝方に室内を温めることが必要です。エアコンや床暖房などのタイマーがある方は起床時間にあわせてスイッチをオンするように設定することが大事でしょう。

 

高血圧の治療がされていない方も、自宅で血圧を測定し高い日が続くようなら冬の間だけでも血圧の治療を行うことも検討します。その場合、春から夏にかけて血圧が低下した場合には減量・中止することを忘れないでください。


また、高血圧の治療をされている方は、冬場に収縮期血圧が10mmHg以上上がる場合にはは降圧剤を増量したほうがいいでしょう。本来であれば本格的な冬になる前に増量することが必要ですが、いまからでも遅くないので主治医の先生とご相談ください。冬場の血圧上昇は気温変化による血管壁の収縮によるもののため、一般的にはカルシウム拮抗薬を追加・増量することが理にかなっています。
また、冬場に塩分過多になる方の場合は利尿剤を追加することも血圧変動を抑えることができます。

血圧をうまくコントロールしてこの冬を乗り切りましょう。

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