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心房細動

[2019.08.09]

心房細動という不整脈を知っていますか? 歳を取ると比較的みられる不整脈ですので一度は聞いたことがあると思います。今日は心房細動のお話をいたします。

下の図は心臓が正常に動くときの模式図です。正常な心臓では右心房の上にある洞結節というところから電気が発生し、房室結節というところを通ってから、右心室と左心室にある電線みたいな線維を通って電気が流れて収縮したり、拡張したりしています。正常な心臓では心臓が1分間に60-80回収縮しています。もちろん運動したりすると脈拍があがりますが、せいぜい150-180くらいまでしか脈があがりません。

 

心房細動では心房が異常な興奮をして、1分間に300-500回ほど細かく震えてしまいます。これが心房細動です。もちろん1分間に300-500回も興奮すると心臓は疲れてしまいますので、実際にはその5分の1や4分の1が心室に伝わるので、脈拍は80-100程度くらいになります。しかしながらその伝わり方は一定ではありませんので脈がバラバラになってしまうのです。

 

また、運動したり何かのひょうしに伝わり方がよくなってしまうと脈拍がいっきに200くらいまで上昇してしまいます。そうすると心臓が勝手に全速力で走っているような状態になりますので、ドキドキしたり苦しくなってしまいます。これが長い間続くと実際に心臓に負荷がかかりすぎて心不全になってしまう人もいるのです。

しかし、心房細動の一番の問題は心房の左心耳というところに血栓ができてそれが飛んでいって脳梗塞になってしまうことなのです。下図参照。

心房細動による脳梗塞は大きな脳梗塞となることが多く、これが非常に問題なのです。要するに半身麻痺、寝たきり、そしてひどい場合には死に至る場合もあるのです。

心房細動の治療には大きく2つの治療法があります。1つは抗凝固薬という血液が固まるのを防ぐお薬を内服すること。もう一つは抗不整脈薬でもとの脈へ直したり、カテーテルアブレーションと言って不整脈を直す方法です。

これ以外にも色々な方法で心房細動には対応することができるようになってきました。今度カテーテルによる左心耳閉鎖術(Watchmann)という治療法も日本で始まります。当院でも心房細動の患者様は多くいらっしゃいますが、適切な治療を行ってまいりたいと考えております。

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