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断熱と高血圧

[2023.01.25]

寒い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
今月のクリニック通信では「住宅を断熱しよう」ということで、断熱と高血圧についてお話をしました。実はクリニック通信で断熱について言及するのは2回目で2022年3月号でも二重窓で断熱ということをお話ししています。
これは私が住宅や建築に個人的に興味があるということもありますが、我々の健康が薬や運動習慣、食生活だけではなく、住居などの生活環境とも関連しているという私の考え方の一つの表れでもあります。

このような考え方は最近少しずつ知られてきているようです。先週1月17日(火)のクローズアップ現代は「実は危ない!ニッポンの寒すぎる住まい」という題で、日本の住まいが断熱が不十分なこととそれとともに血圧上昇して危険であるという、まさに私がクリニック通信でお話しした内容そのものの放送がありました。詳しくはこちらをご覧ください。


クリニック通信でも書きましたが、室内が寒いと血圧が上がることが知られています。例えば室内の温度が20℃から10℃下がると80歳の高齢者が10mmHg血圧が上がることが報告されています。また、私が診察している多くの患者さんが冬の血圧が夏の血圧に比べて高くなっています。また、断熱リフォームで血圧が下がることが知られています。↓

「暖かくして過ごしてください」と患者様の中には、「家では重ね着をしています」とか「夜は湯たんぽをしています」「近くにヒーターを置いています」などとおっしゃる方がいらっしゃいます。もちろん現状での対応としては間違えではないのですが、放送でもあったように家の中の寒暖差が問題となることも多いようです。湯たんぽやヒーターを置いていても、夜にトイレに行くときに寒い廊下を歩いたり、ヒーターから離れるととたんに寒くなるようでは寒暖差のために血圧が乱高下して心臓によくありません。

じつはたまたまですが、先日こんなことを経験しました。
50台の男性で血圧が高いということで12月に私の外来を受診しました方のことです。健康診断で160くらいの収縮期血圧だったとのことで受診されたとのことです。よくお話を聞くと現在はヨーロッパのある国で仕事をしていて1月に帰国して日本で働くとのことでした。もともと自宅で定期的に血圧を測定していて若干高めだったそうですが、160まで上がるほどではなく、この日は自宅で血圧を測定して記入して持ってきてもらうことにして薬に処方はなく帰宅となりました。その方が先日いらっしゃいました。お渡しした手帳で1月の最近の血圧をみると収縮期血圧で170台、拡張期で110くらいありました。しかしよくよく手帳を見てみると1月10日からその前の血圧と比べて収縮期で30くらい上がっているのです。実はその方は、前回受診後から1月7日頃までヨーロッパの自宅で過ごしていて、その後日本へ帰国して現在社宅に住んでいるとのことでした。日本に帰国してから非常に血圧が上がっているのです。お話を聞くと暮していたその国の気温は日本より低いくらいなのですが、家の中がいつでもシャツ1枚で過ごせるくらいとても暖かかったそうです。日本の社宅は寒くてしょうがなくて、厚着をしてエアコンをしているけどそれでも寒くて、電気カーペットなども手に入れたとおっしゃっていました。さらに窓の結露が酷いとのこと。これってまさに典型的な日本の住宅?ですね。

見てくればかりの安普請の住居が日本には多いような気がします。私は住宅についての専門的な知識はありませんので具体的なアドバイスはできませんが、目の前のコストばかりにとらわれずに、我々の健康のためにも真に居住者にとってよい住まいを住宅メーカー、設計者、建築家、大工さんは建てていただきたいと思っています。

皆様も家の中で血圧の乱高下がないように、気をつけてお過ごしください。

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