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新型コロナワクチン予約の憂鬱②

[2021.07.16]

こちらからの続きです。

新型コロナワクチン予約の憂鬱の2回目です。

さて、なぜこのような状況が生じているのでしょうか?

ワクチンは足りているか?

まずは国が主張するように十分な量が確保されいるのか?検証が必要です。
必要な量が確保されていなければ、足りなくなるのは当たり前です。

もし、国が言うように供給量は十分あるとすると供給量に偏りがあるということです。

ワクチンの供給に偏りがあるのか?

職域接種・大規模接種・個別接種と様々なカテゴリーがあり、それぞれにワクチンが供給されていますが、これら3つのカテゴリーのいずれにも予約することが可能となるような人がいます。
会社員の中には職域接種でワクチンを打つ方がいらっしゃいます。職場で打つことができる人の場合、住民票がある区で予約することもできるし、接種券がまわってくれば大規模接種会場で予約することができるわけです。場合によってはダブルカウント・トリプルカウントになって、ワクチンが不足してしまいます。

このワクチンは個別接種の場合は、住民票によって供給されていると聞いています。中央区の場合住民より働いている人が多いので、かかりつけということで住民以外に接種すると足りなくなってしまうということはあると思います。
しかし、住民票がある人以外は打ってはいけないということではないのでなかなか難しい問題です。長年通院している方や持病があって主治医の元で接種したいという人がおり、区が違うからと言って断ることは困難です。

例えば当院は道を隔てて千代田区(神田)がありますし、台東区と江東区もすぐの場所ですので、かかりつけの患者さんには区外の方も多くいらっしゃいます。すぐ近くなのに、住民票が違うからと断るのも難しいですので、基礎疾患のある方には接種をすることがあります。

クリニックではワクチン接種をVRSというタブレットでの報告とV-SYSというPCからの入力の2つの方法で報告しています。VRSは接種券を読み込ませて国が管理しているものと思われます。V-SYSは納入されたワクチンに対して、どの程度の人数を打っているのかを入力しています。
メディアからの情報によると、VRSのデータを国は見ていてワクチンの供給量を判断しているようです。しかし、VRSでは住民票からワクチン区以外の人に接種した場合には区内のワクチンを消費しているにもかかわらず、その方の住民票のある区(市町村)のワクチンが消費されたことになるようです。極端な話、当院がA区にある場合、(例えば)B区の方々のワクチン接種をどんどん行った場合、B区のワクチンは1つも消費しないのにB区の接種率を上げることになります。以前河野大臣は「接種率が高いところへワクチンをまわしていく」ということをおっしゃっていましたので、この場合ですと実際にはワクチンが消費されていないB区へワクチンが供給されてしまうことになります。なんだかおかしな話です。

ワクチンの予約管理はどこで行うのがいいのか?

いまさらですが、予約は区や都で一元管理すべきであったと思います。我々は例えば何月何日クリニックで何件できる、という情報をあげて、あとは都や区の方で予約を管理するという方法です。そうすれば、Aクリニックで1回目、Bクリニックで2回目というような柔軟な案内が可能であるし、もしキャンセルができた時も無駄なく埋めることも可能です。ワクチンの供給量も調節がしやすいと思います。

優先順位を守るべきだ

また、ワクチンの供給が限られているのであれば、ここは基本に立ち返って、優先順位をきちんと守ることを徹底させてほしいです。ワクチンの基本は重症者や死者を減らすために使用することです。

日本では今の所20歳未満の重症者と死者は今のところ0ですのでコロナ感染によるリスクは非常に低い。よって今若者に打つことを宣伝するのはピントがずれていると思います。高齢者、医療従事者、基礎疾患のある人を優先させることを徹底してほしいと思っています。今でも介護スタッフでワクチンを打てずに困っている人がいます。この人たちは、職域接種もなく、若いために個別接種の予約もできていません。そういった人たちに接種できないで、大学生や大企業の若い社員に打っているのをみて何だか順番が違うように思います。

ワクチンが無料なのが問題なのでは?

話はちょっと変わりますが、このワクチンが無料で供給されていることも問題であると考えます。もちろん公費で接種が受けられるのは問題ありません。しかしワクチンは入荷するのにお金がかかりません。もちろんフリーザー購入などにはお金がかかりますが、無料であるがゆえ、職域接種でも個別接種でも大量に仕入れようとする人がいるのではないでしょうか?

ずさんな管理の結果、大量廃棄したというニュースも聞いています。やはりお金がかかっていないと大切に扱わないということはあるのではないでしょうか?

我々のできることは?

色々と長々と書いてきてしまいましたが、私としては自分がやれることを粛々とやるのみだと思っています。
当院としてはできることは限られておりますので、まずは優先順位の高い人から打つこと(高齢者・基礎疾患・医療従事者・介護従事者)、当院のある東京都中央区の住民に打つこと、当院のかかりつけの方へ打つこと、1回目打つ方には3週間後の2回目を打つこと、を徹底していきたいと思っています。今後ともご協力をよろしくお願い申し上げます。

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