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男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)とは

[2022.03.10]

男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)とは

病気ではないのに、中高年男性で「なんとなく不調」「突然のほてりや発汗」などが続けば、男性更年期のトラブルかもしれません。女性特有と思われがちな更年期の症状は男性にもあり、"性ホルモン"の低下やバランスの乱れが原因とされています。

女性の更年期障害は、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少する閉経前後のおよそ10年間に起こり、閉経後は徐々に慣れて症状は治まっていきます。

男性の場合、男性ホルモン(テストステロン)は一般的に中年以降、加齢とともに穏やかに減少します。

減少の速さや度合い、時期は個人差が大きく、したがって女性と似た更年期症状が男性では、40歳代以降どの年代でも起こる可能性があります。ただし図に示すように男性と女性の更年期症状には違いがあり、男性ホルモンの減少によるものを、加齢性腺機能低下症、またはLOH症候群と呼んでいます。

男性ホルモンは、いわゆる筋骨隆々の肉体や性機能だけに働くのではなく、認知機能や血管の健康にも関係しています。男性ホルモンの力を維持することが中高年男性の健康を守るカギとなるでしょう。男性ホルモンの減少は、ストレスや睡眠不足などの影響を受けるため、生活習慣の改善が症状回復につながります。

<男性ホルモンの減少は生活習慣病に関係>

男性ホルモン(テストステロン)の減少で起こる代表的な症状にED(勃起障害)があります。60歳代の日本人の60%以上にみられ、珍しいことではありません。女性は閉経によって生殖機能の終わりを迎えますが、男性はその終わりがなく、80歳、90歳になっても勃起します。EDは、かつては気のもちようだとか、糖尿病などの生活習慣病が悪化して起こるとされてきましたが、近年"血管病"としてもとらえられています。それは、勃起のメカニズムが、血管の機能と深く関係があり、血管の健康が失われる(動脈硬化が進み、血流が悪くなる)とEDが起こりやすくなるためです。陰茎の動脈は非常に細いため初期の動脈硬化でも影響が現れやすく、EDは"最初に自覚できる生活習慣病"だと考えられます。性欲のあるなしに関わらず、EDは男性の健康の"見張り役"になるわけです。

加齢男性で男性ホルモン(テストステロン)値が低い場合、抑うつ状態、性機能・認知機能の低下だけでなく、糖尿病や肥満、メタボリックシンドローム、骨粗しょう症、心血管疾患(動脈硬化・血管内皮機能の低下)などに関係するとの研究結果や、男性ホルモン(テストステロン)値の高い人のほうが長寿という報告もあります。また、男性ホルモンの減少は認知症やサルコペニア(筋肉減少症)とも関連します。

男性ホルモンは多くの病気のリスクから身を守ってくれる、健康長寿のための大事な相棒といえそうです。

男性ホルモンは男性の健康維持に働いています。もし男性更年期障害やEDを自覚されたら、生活を見直し、改善するのはもちろん、定期的に健康診断や、前立腺腫瘍マーカー検査(PSA検査)を受けるなど、ご自身の健康に、よりいっそう気遣うようにしましょう。

<男性更年期障害の診断と検査>

LOH症候群の診断にはAMSスコア(Heinemann aging male symptoms score)上記が用いられます。
AMSスコアで27点以上は軽度の異常、37点以上は医療機関の受診が必要な中等度以上の異常が示唆されます。さらに、血液中の男性ホルモン(遊離テストステロン)の測定が必須で、LOH症候群の診断に最も信頼できる指標であるとされています。

診断基準では遊離型テストステロンが8.5pg/ml未満なら男性ホルモンが明らかに低いとされ、さらに8.5pg/ml以上から11.8pg/ml未満を男性ホルモンが低下傾向にある(ボーダーライン)と判断することを推奨しています。
なお、遊離テストステロンの採血は午前中に行うことが推奨されています。

<男性更年期障害の治療>

体調が悪く、血液検査で男性ホルモンが低い場合には加齢性腺機能低下症と診断されます。職場などのストレスのチェックや睡眠、運動や食事の習慣の改善で症状は改善します。漢方薬やED治療薬、抗うつ薬などが処方されることもあります。著しく男性ホルモンの値が低く、症状が強いときには、テストステロン補充療法を行います。保険治療としてはテストステロンの筋肉注射を2から4週間おきに症状が改善するまで行います。

男性ホルモンの注射による男性ホルモン補充療法が一般的です。その他、漢方薬(補中益気湯など)や精神安定剤(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の抗うつ剤)や 睡眠薬などを使って治療することもあります。他に、シアリスのようなED治療薬を使用することもあります。

食事・運動・睡眠

 テストステロンを増やすには良質な睡眠が必要です。自律神経には緊張や興奮などをつかさどる「交感神経」と休息やリラックスなどをつかさどる「副交感神経」がありますが、このうち副交感神経が優位になるとテストステロンの分泌量が増えます。
食事も重要です。体のべ一スをつくる艮質のタンパク質(肉〔牛/豚/鶏〕、魚、卵、牛乳、豆類)を欠かさずとりましょう。
さらに、男性ホルモンを増強するといわれるネギ類、ネバネバ食品、アボカドなどの食材を一緒にとると効果的です。 ガ一リックステーキやニラレバ炒めはお勧めメニューです。
生活習慣の改善も有効であり、お酒を控え、運動をする習慣を持つことが重要です。筋肉を使うことでテストステロンが増え、ストレス解消にもなります。お勧めは一日30分のウォーキング。だらだらと歩くのではなく、スロージョギングを加えるなどメリハリをつけましょう。また他人と競い合うスポーツも効果的です。

内服加療(漢方薬、PDE5阻害薬)

①補中益気湯・八味地黄丸
②性機能症状が強い場合にはED治療(PDE5阻害薬)
③心理症状が強い場合は心療内科と相談し抗うつ薬、抗不安薬治療
④身体症状が強い場合、骨粗しょう症が疑われる場合は整形外科と相談し薬物治療

ホルモン補充療法


 現在は男性ホルモンの注射による男性ホルモン補充療法(エナルモンデポ(エナント酸テストステロン))が一般的です。

 適応は、男性ホルモンが低値を示した方で、前立腺肥大症やがんのない方となります。2~3週間に1回、男性ホルモンの筋肉注射を行います。

 効果の表れ方は患者さんによって様々ですが、典型的な方では注射直後より効果があらわれます。 効果判定は3か月ごとに評価を行います。どれくらい継続するかですが、これも個人で様々であり、短期投与から数十年の長期投与まで個人差があります。 ただ、挙児希望ある方にはホルモン補充療法は精子の数が減るという副作用があるためなるべく行いません。PSA(前立腺癌マーカー)2ng/ml以上ではホルモン補充療法は行いません。

私自身も50を過ぎて以前とは違う体調の変化を感じることあります。上記の症状がございました、一度ご相談ください。

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