糖尿病の運動療法
糖尿病と運動療法
―「動くこと」は、最高のくすりです ―
糖尿病治療の三本柱は、食事・運動・薬物療法です。その中でも運動は、血糖値の改善、体重管理、合併症予防などに幅広く効果がある自然療法ともいえる存在です。
運動は年齢や体力に応じて無理なく取り組むことができ、継続することで確実な効果が得られます。
🔸 運動療法の効果
効果 | 説明 |
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血糖値の改善 | 筋肉がブドウ糖を使うことで、インスリンが効きやすくなり、血糖値が下がります。 |
インスリン抵抗性の改善 | 特に内臓脂肪の減少により、インスリンの働きが高まります。 |
体重管理 | 消費エネルギーが増え、体脂肪の減少につながります。 |
血圧・脂質の改善 | 高血圧や脂質異常症の予防・改善にも有効です。 |
ストレス解消・気分の改善 | 気分転換や睡眠の質向上など、メンタル面にも良い影響があります。 |
🔸 どんな運動が効果的?
糖尿病に効果的な運動は、「有酸素運動」と「筋力トレーニング(レジスタンス運動)」を組み合わせることです。
有酸素運動(脂肪燃焼+血糖改善)
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ウォーキング(30分〜60分)
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サイクリング
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水中ウォーキングや水泳
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エアロビクス、ダンス など
👉 週に3〜5回以上、1回30分程度を目標にしましょう。短時間でも「こま切れに積み重ねる」ことで効果があります。
筋力トレーニング(筋肉量の維持・増加)
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スクワット、カーフレイズ
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ペットボトルを使った腕の運動
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椅子からの立ち上がり運動(椅子スクワット)
👉 週に2〜3回、自分の体力に合わせて無理なく始めましょう。
🔸 運動するタイミングと注意点
項目 | 推奨または注意点 |
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食後1〜2時間後の運動 | 食後高血糖を抑えるために最適なタイミングです。 |
空腹時の激しい運動 | 低血糖リスクがあるため避けましょう(特にインスリンやSU薬使用中の方)。 |
血糖値が高すぎるとき | 血糖が300mg/dL以上やケトン体陽性の場合は医師に相談の上、運動を控えましょう。 |
足のトラブル(しびれ・潰瘍) | 神経障害や足病変がある方は、負担の少ない運動(例:水中運動)を選びましょう。 |
脱水予防 | 運動前後には水分をしっかり補給しましょう。 |
🔸 続けるためのコツ
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最初は**「10分歩くだけ」**でもOK。ハードルを低く設定し、成功体験を積み重ねましょう。
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音楽を聴きながら、友人や家族と一緒に、楽しく行うことが長続きのコツです。
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歩数計やアプリで「見える化」することで、モチベーションが保ちやすくなります。
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毎日同じ時間に運動することで生活リズムの安定にもつながります。
🩺 最後に
運動は、薬と同じくらい効果があり、しかも副作用のない「最良のくすり」です。
あなたの生活の中に、無理なく・楽しく・長く続けられる運動を取り入れていきましょう。
運動の種類
運動は個人差が大きいため、自分にあった運動を行うことが重要です。
日常生活で取り入れることのできる運動を行うようにしましょう。