動悸や息苦しさなど→不整脈の症状かもしれません
新型コロナウイルス感染症のニュースばかりで気持ちが落ち込む人も多いようです。
「ドキドキする」「息苦しい」などとクリニックにいらっしゃるかたもおられます。
この中には精神的な問題の方もいらっしゃいますが、もちろん実際に何らかの疾患がある方もいらっしゃいます。
症状がある方はご相談ください。
動悸についてはだいぶ以前の院長ブログでもお話しました。今回循環器学会で不整脈薬物治療ガイドラインが改定されましたので、これを機会にもう一度お話したいと思います。
動悸の症状
動悸の症状は人によって訴え方が異なります。例えば下記のような症状です
●脈が抜ける
●ドキンと鼓動を感じる
●鼓動が早くなる(突然早くなる、徐々に早くなる)
●脈がバラバラになる
●息苦しくなる
●胸が痛くなる
このような症状があった場合、不整脈が疑われます。症状の出方も重要です。
●運動したときに症状が出る
●安静時に症状が出る
●食後に症状が出る
●寝ているときに症状が出る
●緊張したときに症状が出る
●一日中出る
●日中だけ出る
このように症状をよく伺うことでどのような不整脈がでているのか、もしくは不整脈ではないのかを見極めることができます。
今回はとくに期外収縮についてお話します。
期外収縮とは
期外収縮とは脈が通常と違う場所から予定より早く出現することを指します。下記参照。
心臓の上の方から出現するものを上室性期外収縮、下の方から出現するものを心室性期外収縮といいます。
上室性期外収縮
上室性不整脈は健常人でも9割以上に認めると言われているが、健常人では100拍/日以下と言われています。
一般的に言われていることですが、カフェイン、アルコールなどで出現回数が多くなると言われていますので、期外収縮を感じる人は控えたほうがいいと考えられます。
今度お話しますが、心房細動という脳梗塞を起こしやすくなる不整脈があります。実は上室性期外収縮が増えてくると心房細動に移行する人が増えると言われています。
脳梗塞の原因は心房細動だけでなく、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞などに分類されますが、原因不明なものもあります。この中で上室性期外収縮が多い人は心房細動が合併していることがあると言われており、そのような人はホルター心電図で検査することが望ましいと考えます。
上室性期外収縮の治療
さきほど述べたように、アルコールやカフェインなどで頻度が多くなる人がいますので、そういった人はアルコールやカフェインを控える必要があります。経験的には仕事のストレス、睡眠不足などでも増える印象があります。
日中に増加するタイプではβ遮断薬が効くこともあります。それ以外にもいくつかの抗不整脈薬を使用することもありますが、心機能が悪い場合は使えにくいので、開始前には心エコーにて心機能をチェックしたほうがいいと思われます。
心室性期外収縮
心室性期外収縮は上室性期外収縮と同様に経過をみるのみでよいものも多いのですが、なかに重篤な不整脈のトリガーになったり、あまりに回数が多い症例では心機能が低下することもあるので注意が必要です。
心室性期外収縮は上室性期外収縮と同様に24時間心電図にて評価することが大切です。1日1万個以上出たり、運動負荷後に多発するような期外収縮は心筋症を誘発する可能性が高いと言われています。
心室性期外収縮の治療
器質的心疾患を伴わない心室性期外収縮では自覚症状がなければ経過を見ることも多い。自覚症状があり多発する場合にはβ遮断薬などしようすることがあります。
また特殊な形の期外収縮の場合、カテーテルアブレーションなどを行うことがあります。
また、心筋梗塞を起こしたあとや心機能低下症例で認められる期外収縮ではβ遮断薬やアミオダロンを使用することがあります。
今回は動悸について、期外収縮についてお話しました。
次回は心房細動についてお話します。