新型コロナウイルスについて
昨日当院が入居しているメディカルプライム日本橋小伝馬町8Fの「ペロペパ」にて地域健康講座があり、そちらで講演を行いました。当初は不整脈についてお話する予定でしたが、急遽演題を「新型コロナウイルス感染症について分かっていること」に変更してお話をいたしました。
残念ながら地域健康講座はまさに「新型コロナウイルス感染症」により、来週より一旦中止になるとのことで来月の予定はキャンセルになりました。
また早く再開できる日が来るのを心待ちにしております。
さて自分は感染症の専門家ではありませんし、このことに関してはメディアで多くの専門家が意見をのべています。また今まさに進行中の疾患ですので刻一刻と事実が明らかになっていくかもしれませんので、ここでは自分が感じていることを中心に掲載させていただきます。
新型コロナウイルスと新型コロナウイルス感染症の呼称について
現在「新型コロナウイルス」や「新型コロナウイルス肺炎」などと呼ばれることが多いが、ウイルスに対しては「SARS-CoV-2」、このウイルスによる呼吸器疾患については「COVID-19」という名称が付けられている。
マスクの着用は効果あるの?
この点については、専門家からは「感染者がマスクをすることに意味があり、予防には意味がない」というニュアンスの発言をよく耳にしました。果たして本当にそうなのでしょうか?
首相官邸のホームペーにも以下の文章が掲載されております。
※マスクの効果は?
マスクは、咳やくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。咳やくしゃみ等の症状のある人は積極的にマスクをつけましょう。
一方で、予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられますが、屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。
咳や発熱などの症状のある人に近づかない、人混みの多い場所に行かない、手指を清潔に保つといった感染予防策を優先して行いましょう。
(首相官邸 ホームページより)
上記は一般的なマスクと最近やウイルスの大きさの比較です。このような事実によりマスクは効果があまりないのではないかと指摘されているのです。
こちらはサージカルマスクとN95マスクのインフルエンザに対する効果について述べた論文です。
結論からするとサージカルマスクとN95のマスクに差はありません。N95という呼吸困難を起こしそうなマスクをしても普通のマスクをしても差はないのです。
マスクと手指消毒のインフルエンザに対する効果
これによるとマスクと手指消毒によってインフルエンザの罹患を予防できることがわかります。
このことから導き出される結論は、マスクと手指消毒の励行です。決してマスクは意味がないと言うことではないと思います。
潜伏期間について(その期間も感染するのか?)
世界保健機関(WHO)のQ&Aによれば、現時点の潜伏期間は1-12.5日(多くは5-6日)とされており、また、他のコロナウイルスの情報などから、感染者は14日間の健康状態の観察が推奨されています。
中国からの報告では最長24日間の潜伏期間が報告されているが、1例のみである。
症状がない患者より感染の報告があるが、この論文についてはその後症状があったとの話もありはっきりしない。
⇒その後の日本の感染状況をみると、潜伏期間にも感染する可能性は否定できない
感染の形態
感染の形態は、ヒトーヒト感染が起こるとWHOの専門家委員会は1月23日のステートメントで発表。当初その多くは家族内感染と医療従事者であった。飛沫感染・空気感染かは未だ不明だが、コロナウイルスであれば飛沫感染が疑わしいとは考えられる。
また、NEJMの報告などでは、糞便中にもコロナウイルスが認められ、糞口感染もありうると考えられている。
WHOやCDC、イギリスでは医療従事者は空気感染対策をとることを勧めており、中国からはエアロゾル感染をするという主張が出ている。
→クルーズ船での感染をみるにつけ果たして単にインフルエンザと同じ対策でよいのか、大いに疑問である。
COVID-19の予後について
武漢市内の病院に入院した最初の41の確定症例のうち、13人(32%)が集中治療を必要とし、6人(15%)が死亡した。死者の多くは、高血圧、糖尿病、免疫系を損なう心血管疾患など、他の疾患を併せ持っていた。死亡に至った初期症例によると、疾病の判明から死亡までの中央値は14日であり、6日から41日までの幅があった。
感染による全体的な死亡率と罹患率は分かっていない。これは、2019年から2020年にかけて発生した流行では致死率が時間とともに変化する可能性があることや、疾患が診断可能になるまで進行した感染者の割合が不明なためである。しかし、予備調査で2%から3%の致死率が得られている。
世界保健機関(WHO)の発表によれば致命率は3%程度と推定されている。これはSARSの致命率の9.6%よりも低い。なお、スペインかぜ(インフルエンザ)が世界的に大流行(パンデミック)した時の致命率は、不正確ながら2.5%以上と推定されている。
しかし、上記のような説明でみなさんは納得できますでしょうか?SARSの致命率はよく比較に挙げられますが、SARSは日本人は死者0(感染者0)です。誰も感染せず死亡者が出てない疾患を挙げられてSARSよりは低いと言われても???のはずです。季節性インフルエンザと比較するのであれば、致死率もインフルエンザと比較すべきでしょう。ちなみに、季節性インフルエンザの致死率は最大でも0.1%程度ですから、3%の致死率がほんとうであればインフルエンザの30倍の致死率ということになります。30倍の病原性をもつウイルスがインフルエンザと同じように蔓延することを考えるだけでも恐ろしくなります。
ジョンズ・ホプキンス大学のデータベース
2020/2/16現在、69,267名が診断、1,670名の死亡、9,864名の回復
感染者に対して回復者がすくないのが気になるところです。
政府からのメッセージ 2020/1/27
新型コロナウイルス感染症の現状からは、中国国内では人から人への感染は認められるものの、我が国では人から人への持続的感染は認められていません。
国民の皆様におかれては、過剰に心配することなく、季節性インフルエンザと同様に咳エチケットや手洗いなどの感染症対策に努めていただくようお願いいたします。
武漢市から帰国・入国される方におかれましては、咳や発熱等の症状がある場合には、マスクを着用するなどし、事前に医療機関へ連絡したうえで、受診していただきますよう、御協力をお願いします。また、医療機関の受診にあっては、滞在歴があることを事前に申し出てください。
→武漢での状況から見ると非常に違和感のあるメッセージ
この状況を一体誰がコントロールしているのか全く見えてこない
感染症学会よりコメント 2020/2/3
インフルエンザ対策に準じて、ただし地域・施設の状況に応じた対応が求められます。
本邦における感染者数は 2 月 3 日時点で 20 例となっております。幸いなことに、これら感染患者の状態は落ち着いており、重症例はみられておりません。本ウイルスの感染性に関しては、基本再生産数(1 人の患者から何人に感染が広がるか)は 1.5~2.5 と推定されており、通常のインフルエンザと同程度であることがわかってきました。患者の家族、担当する看護師・医師における感染例は現在までのところ報告されていません。これから感染患者数が増加するにつれて、基礎疾患を有する宿主や高齢者において重症例がみられてくることを想定していなければなりません。しかし、これまでの本邦における感染事例の解析から、新型コロナウイルスの感染性および病原性はインフルエンザ相当、あるいはやや強い程度と考えてもよいと推察されます。
→果たしてこれを信用してよいのだろうか?インフルエンザからやや強い程度の病原性といっていいのだろうか??
専門家のコメントが本当に信頼できるのか?
ヒトーヒト感染はありません
中国以外でのヒトーヒト感染はありません
マスクは予防には効果ありません
感染力はインフルエンザと同等です
感染予防はインフルエンザと同じ対策で大丈夫
重症化することはまれです
中国では医療従事者が重症化することは少ないです
高齢者や持病のある人が重症化しやすいです
(日本の感染者を診療した医師が)思ったより軽症患者が多いです
これまでの専門家は上記のようなコメントを出してきました。しかし、このようなコメントはことごとく否定されてきています。分からないことは安易な憶測、希望的観測で物事を述べるのは慎むべきだと考えます。この病原体は、人間の考えや希望でどうなるものではありません。ウイルスの特性なのです。
強い違和感があります(個人の意見です)
これまでの政府、厚労省の方針や専門家のコメントには強い違和感があります。
このウイルスの感染性はどの程度で病原性はどの程度であるのか私には分かっていません。
本当にインフルエンザと同じような対応で感染しないのでしょうか?検疫官が感染しました、看護師も感染しました、中国では多く(3000人以上)の医療従事者が感染しています。これは個人の問題ではないはずです。現在我々が考えているような感染対策で十分なのでしょうか?
国立国際医療研究センター病院の症例報告によると、「軽症例は全ての医療機関で診療を行う医療体制を構築することが望ましい.」とされていますが、感染患者の診察には
↓ような対応がでやっているそうです。そもそもこのような防護服をすべての医療機関に揃えることはできないし、このような防護服で一般診療は不可能です。
また、高齢者、持病のある方が、重症化するのはもちろん当然として、持病がない高齢者以外は本当に問題がないのでしょうか?我々は明らかに高齢者ではなく、持病もないであろう33歳の眼科医の李文亮氏が感染してたった1ヶ月で亡くなっているのを知っています。また、武昌医院の院長(51)も肺炎で亡くなっています。診療にあたっていた医師がその疾患でなくなるなんて聞いたこともありません。これは中国の医療レベルの問題ではなく、ウイルスの毒性の問題だと思うのです。
感染症の専門医でない単なる開業医の私には何もできませんし、正直言って現在の対策には不安を覚えることばかりですが、東北大学の押谷仁先生のコメントには実に納得がいきました。このコメントにリンクを貼っておきますので是非参考にしてくだい。