睡眠時無呼吸症候群とは
〜深い眠りを妨げる“見えない呼吸の障害”〜
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり(無呼吸)、浅くなったり(低呼吸)する疾患です。無呼吸が1回10秒以上続き、それが一晩に何十回も繰り返されることがあります。
この状態が続くと、日中の眠気や集中力低下、生活の質の低下だけでなく、高血圧や糖尿病などの病気の背景になることもあります。
主な症状
以下のような症状がある方は、SASの可能性があります。
日中の症状 | 睡眠中・起床時の症状 |
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強い眠気 | いびき |
集中力・記憶力の低下 | 呼吸が止まっていると指摘される |
倦怠感、気分の落ち込み | 頻繁に目が覚める |
居眠り運転や仕事中の居眠り | 起床時の頭痛、口の乾き |
作業効率の低下 | 夜間頻尿 |
診断の流れ
睡眠時無呼吸症候群の診断には、問診と検査の両方が重要です。
問診で確認すること
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睡眠時間と質(浅い、よく目が覚めるなど)
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いびきの有無(家族からの情報も重要)
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日中の眠気の程度(Epworth眠気尺度など)
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既往歴(高血圧、糖尿病、心臓病など)
診断基準の一例(AHI:無呼吸低呼吸指数)
AHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数) | 重症度 |
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5〜15回 | 軽症 |
15〜30回 | 中等症 |
30回以上 | 重症 |
検査方法
当院では、患者さんの状況に応じて、簡易検査と精密検査を行っています。
検査名 | 内容 | 特徴 |
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簡易検査(自宅) | 指先の酸素濃度、いびき、呼吸パターンを記録 | 初診・スクリーニングに最適。自宅で簡単に実施できます。 |
ポリソムノグラフィー(PSG) | 脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、酸素飽和度などを多項目同時記録 | 正確な診断が可能。当院では入院不要、自宅で機器を装着する在宅PSGにも対応しています。 |
治療法
睡眠時無呼吸症候群の治療は、症状の程度や原因、患者さんのライフスタイルに合わせて選択されます。
治療法 | 内容 | 適応・効果 |
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CPAP療法(シーパップ) | 鼻マスクから空気を送り、気道の閉塞を防ぐ | 中等症〜重症のOSAに第一選択。眠気や血圧の改善効果が高い。 |
マウスピース療法(口腔内装置) | 就寝時に下顎を前方に出す装置を装着し、気道を広げる | 軽症〜中等症の方、CPAPが合わない方に有効。歯科連携が必要。 |
減量・生活習慣改善 | 食事指導、運動、禁煙・禁酒 | 肥満や飲酒が影響するOSAでは、体重減少が根本改善につながることも。 |
外科的治療 | 扁桃腺摘出、鼻中隔矯正、舌根形成術など | 特定の解剖学的要因がある場合に検討されます。 |
当院の検査・治療の特徴
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自宅でできる簡易検査・在宅PSGを完備
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循環器内科医による総合的な評価
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必要に応じて、生活指導・口腔内装置・CPAP導入までサポート
まずは「いびき」や「眠気」の自覚から
「ただのいびき」や「年のせいの疲れ」と思っていた症状が、実は睡眠時無呼吸症候群だったということは少なくありません。
SASを放置していると、高血圧、糖尿病、心臓病などのリスクが高まります。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。