メニュー

24時間血圧計を試してみました

[2019.11.15]

私は数年前より降圧剤を内服しております。自分はとくに太ってもいなくて喫煙もしませんが、母親の家系に高血圧の人が多く自分もそれに似たのか徐々に血圧が上がってきて、遂に?数年前より内服を開始しました。2つ上の兄も降圧剤を内服しており、やはり家系なんだと思っています。散々降圧剤を処方してきた自分が言うのも何ですが、やはり内服前は「下がり過ぎたらどうしよう」「気力がなくなるんじゃないか」など色々と不安もあったのですが、内服してみると何のことはなく、とくだん不都合なことはなく過ごしています。もともと頭痛持ちだったのですが、頭痛の頻度は減って、肩こりも感じることが少なくなって、もっと早く内服していたほうが良かったんじゃないかと思うくらいです。

ABPM (Ambulatory Blood Pressure Monitoring, 24時間自由行動下血圧測定)を知っていますか?

ところで皆さんはABPM (Ambulatory Blood Pressure Monitoring, 24時間自由行動下血圧測定)について知っていますか?高血圧診療のガイドラインにも載っている機械ですが、以前より施行されることが少なくなっているような印象があります。文字通り、一日血圧を測定して夜間高血圧、早朝高血圧、ストレス下の高血圧、仮面高血圧、白衣高血圧など診察室や家庭血圧でも知ることができない血圧の情報を調べるのにも有効なのです。クリニックを開業するにあたって、降圧剤のコントロールが十分なのか?または本当に家庭での血圧はどうなっているか調べるためにABPMの機械を購入いたしましたので、今回自分でも試してみました。

ABPM装着

こんな感じで装着します。その後30分おきに圧がかかり、血圧を測定していきます。最初はその圧と音に若干ストレスかかりましたが、その後は気にならずに圧がかかると30分経ったんだなあと時計代わりのような気分になりました。

自分の結果です。完全な個人データなのですが、平均血圧は114/77となかなかのコントロールです。ただし、グラフで見ていただければ分かるように夜間は血圧は下がり、朝方には140台まで上昇しております。夜間下がるタイプはdipper 型と呼ばれますが、患者さんによっては夜間に血圧が下がらないようなnon-dipper 型の方もいらっしゃいます。non-dipper 型の患者さんは脳・心臓・腎臓といった高血圧標的臓器において症候性・無症候性の臓器障害(心肥大、左室機能低下、無症候性脳梗塞、微量アルブミン尿)が進行していると報告されておりますので注意が必要です。

降圧剤はいつ内服するべきなのか?

現在発売されている降圧剤は1回/日タイプのものが多くなっています。のむタイミングについてはほとんどが朝食後と指示されているのではないでしょうか?自分も朝内服しておりますし、多くの患者さんで朝内服するように指示しております。その理由としては忘れずに内服していただけるというのが最も多い理由です。昼間は仕事中の方が多く忘れがちですし、夜はお酒を飲む人も多いのでお酒と一緒に薬を内服するには抵抗があります。しかし降圧剤の内服をいつにすべきかという明確な根拠はガイドラインには載っていないのです。ことしのEuropean Heart Journalでスペインの研究者が、降圧剤の内服を起床後と就寝前の2つの群に分けて投与したところ、就寝前投与のほうが死亡リスクは56%心筋梗塞34%、心不全リスクは42%、脳卒中リスクは49%低下したとの報告を行っております。(下記参照)

これをみると、就寝前投与のほうが断然いいということになりそうです。ただし、降圧剤内服時間についての検討はこれまでほとんどされていないようなので、今後さらなる検討が必要だと思われます。この論文での考察はABPMの測定値から、就寝時に降圧薬を服用した患者では睡眠中の血圧値が有意に低いことも分かったとのことで、夜間就寝時の血圧低下が重要だと思われます。そのためにはABPMの測定が必要だと思われます。

皆さんの中で降圧剤内服中の方、コントロールがあまり良くない方、自宅血圧と診察室血圧が違う方などいらっしゃいましたら是非ABPMを一度受けることをお勧めいたします。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME