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睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係

[2025.04.27]

~眠りのトラブルが血糖に与える影響~

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に呼吸が断続的に止まる病気です。
このSASがあると、2型糖尿病の発症リスクが高まったり、血糖コントロールが悪化することがわかっています。

糖尿病の治療を頑張っていても血糖がなかなか安定しない方は、眠りの質に問題がある可能性も考えられます。

SASが血糖値を悪化させるメカニズム

睡眠時無呼吸症候群によって血糖値が悪化する背景には、次のような複雑な身体の変化が関わっています。

原因 内容
低酸素状態 呼吸停止により体内の酸素濃度が低下し、細胞がストレスを受け、インスリンの効果が低下します。
交感神経の過剰刺激 無呼吸が起こるたびに交感神経が活性化し、アドレナリンやコルチゾールなど血糖値を上げるホルモンが分泌されます。
睡眠の質の低下 深い眠り(ノンレム睡眠)が妨げられると、ホルモンバランスが崩れ、食欲が増進し、体重増加やインスリン抵抗性の悪化を招きます。
慢性炎症の亢進 SASによる酸素不足やストレスにより、体内で慢性的な炎症反応が起こり、インスリンの働きが妨げられます。

つまり、SASは複数のルートから血糖値の悪化を引き起こす要因となるのです。

SASと糖尿病に共通する症状

糖尿病を持つ方で、次のような症状がある場合、SASを合併している可能性があります。

チェック項目  
夜間のいびきが大きい
睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
日中の強い眠気、集中力の低下
起床時の頭痛や口の渇き
夜間頻尿、寝汗
血糖コントロールが悪化している

診断方法|まずは簡単な検査から

当院では、負担の少ない検査でSASの診断が可能です。

検査名 特徴
簡易検査(在宅) 指先センサーなどで酸素飽和度と呼吸状態を記録。自宅で簡単にできるスクリーニング検査です。
ポリソムノグラフィー(PSG) 脳波・心電図・呼吸などを総合的に調べる精密検査。入院不要で自宅対応も可能です。

検査結果に応じて、SASの重症度(軽症・中等症・重症)を評価し、最適な治療をご提案します。

治療方法|眠りを整えると血糖も安定します

治療法 内容 効果
CPAP療法(シーパップ) 就寝時に鼻マスクから空気を送り、気道閉塞を防止。 睡眠の質を改善し、血糖値やHbA1cも改善する効果が期待できます。
減量・生活改善 食事指導・運動療法・禁煙禁酒 体重減少によりSASと糖尿病の両方を改善可能です。
マウスピース療法 軽症SAS向けに下あごを前に出す装置を装着 CPAPが合わない方への選択肢となります。

特にCPAP療法を続けることで、HbA1cが0.4〜0.6%程度改善したという研究結果も報告されています。

まとめ|睡眠の質を高めることが血糖改善への近道です

糖尿病がうまくコントロールできない背景には、「眠りの障害」が潜んでいることがあります。
睡眠時無呼吸症候群を適切に治療することで、血糖コントロールが改善し、生活の質も大きく向上する可能性があります。

「血糖が下がらない」「いびきが気になる」「日中眠い」といった症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、睡眠と糖代謝の両面から、皆様の健康をしっかりサポートしています。

 

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