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花粉症について

[2024.02.23]

花粉症について

今年もスギ花粉症の季節がやってきました。今回は花粉症についてとりあげます。

花粉症は、スギやヒノキなどの主に春の花粉が原因によるものが多く、主にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血などアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の症状を起こす疾患です。花粉症はI型アレルギー疾患であり、花粉アレルゲンに対する感作により症状を引き起こし、遺伝的素因・環境的要因の両者が関与します。

花粉症の原因

花粉症の約70%はスギ花粉症だと考えられています。これはわが国には全国の森林の18%、国土の12%をスギが占めているためでもあり、関東や東海地方ではスギが中心になります。また、関西ではスギと並んでヒノキも植林面積が広いため、ヒノキも要注意です。一方、北海道にはスギやヒノキが少なくシラカンバ属(カバノキ科)が多いという特徴があります。

花粉の飛散時期


・スギ:年初から飛び始めて3月にピークを迎えて5月くらいまで飛散します。
・ヒノキ:スギよりも若干遅れて飛び始めて4月にピークを迎えて6月くらいまで飛散します。
・シラカンバ:北海道ではシラカンバ属の飛散が5~6月にピークを迎えます。
・イネ科:北海道で6~9月に飛散しますが、本州以西ではほぼ1年を通して飛散します。
・キク科:秋の花粉として知られるキク科のブタクサ属・ヨモギ属、クワ科のカナムグラは8~10月に飛散します。

関東の花粉飛散

症状について


花粉症の症状は、鼻症状(「鼻水」「くしゃみ」「鼻づまり」の3大主徴目)と眼症状(眼掻痒感、異物感、眼脂)が主なものであり、それ以外にも咳や喘鳴、全身倦怠感、耳閉感、のどの詰まり感、皮膚症状、胃腸症状なども多彩な症状を呈します。また、花粉症の人の中には、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇、舌、口の中や喉にかゆみやしびれ、むくみなどがあらわれることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉にあるアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こります。これはとくにカバノキ科花粉症で多いといわれています。

重症度について


花粉症の重症度は、鼻水をかむ回数とくしゃみが生じる回数、鼻づまりは口呼吸の回数で診断されます。鼻水とくしゃみは密接に関わるので、まとめて「鼻水・くしゃみ型」、鼻づまりが他の症状より強いと「鼻づまり型」、3つの症状が同様に強いと「充全型」と分類します。
花粉症は重症でも生命に関わることはありませんが、花粉症と食物アレルギーが合わさった口腔アレルギー症候群ではまれですが、全身に症状が出現するアナフィラキシー反応が生じる場合があり、医師の正確な診断・治療が必要となります。

治療について


花粉症の治療は、アレルギー性鼻炎に対する治療と同じであり、治療には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要です。

薬物療法では鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻の炎症を抑える点鼻ステロイド薬、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。抗ヒスタミン薬は眠気などの副作用がありますが、近年は眠気の出にくい薬もあります。
目の症状には、花粉に曝露して生じる各種の化学伝達物質(ケミカルメディエーター)に対するメディエーター遊離抑制薬や、抗ヒスタミン薬の点眼薬が用いられます。花粉飛散量が増えて症状が悪化してきたら、目のアレルギー性炎症に対して点眼ステロイド薬を用いる場合もあります。点眼ステロイド薬を用いる場合は眼圧上昇などの副作用を確認するために眼科専門医による定期的な検査が必要です。

 


また、症状を緩和するために、ヒスタグロビン、ノイロトロピンの注射を使用することもあります。ヒスタグロビンは週に2回程度の頻度で原則6回の注射を行うことを基本とし、3~4か月間全てのアレルギー反応を大幅に抑えることが期待できます。また、花粉症の症状を和らげる作用のあるノイロトロピンと併用することでさらに症状の緩和が期待できます。ヒスタグロビン、ノイロトロピンの注射はいずれも保険適応となっています。

アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれていましたが、原因となるアレルゲンを投与して、体のアレルギー反応を弱める治療です。注射製剤と舌下製剤(舌下錠)があり、舌下錠では日本ではスギ花粉(シダキュア)とダニ(ミティキュア)が保険適用になっています。治療は数年以上必要であり、根気のいる治療ですが、薬物療法で副作用が出るために治療が続けられない患者さんや、薬物療法だけでは症状が抑えられないような患者さんでは、免疫療法が考慮されます。

手術療法は、鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。薬物療法でも症状が抑えられない場合などに考慮される治療です。

当院では手術療法以外の治療を行っておりますのでお気軽にご相談ください。

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