フィン・ユールとデンマークの椅子
先日東京都美術館で開催中の「フィン・ユールとデンマークの椅子」展へ行ってきました。
フィン・ユールは20世紀を代表するデンマークの家具デザイナーで、とくに「イージーチェアNo.45」は「家具の彫刻家」と言われた彼の代表する椅子です。その美しいフォルムから「世界で一番美しい肘を持つ椅子」と言われています。
私は昔から北欧(デンマーク)の椅子は大好きで、いつかは手に入れたいと思っていますが、残念ながら今のところ1脚も手に入れることができていません。椅子はある程度の大きさがありますし、有名な椅子はそれなりに高価ですので購入するのに躊躇しているところです。デンマークの椅子というと何といっても有名なのは、ウェグナーのYチェアだと思いますが、Yチェアをはじめとしたデンマークの椅子は木材を使いながらデザインは洗練されていて現代でも十分通用する佇まいです。とくに日本の家屋には合うのではないかと思います。
デザイナーとしてはフィン・ユール、ウェグナー、ヤコブセンなどが有名ですが、私は密かにカイ・クリスチャンセンが好きで、以前泊まった山形の旅館にカイ・クリスチャンセンのNo.42があってとても感激したことがあります。今回の展覧会にカイ・クリスチャンセンは相関図に載っていましたが、彼の作品は展示されていませんでした。
ところで、フィン・ユールの作品は正直言って代表作くらいしか知らなかったのですが、今回多くの作品をみて、彼のデザインが後年になって大量生産に向くようにデザインが単純化されていったことを知りました。デザインが単純化されることで魅力が増すこともありますが、彼の場合は単純化するほど魅力が薄れていったようでそれは残念なことでした。
今回の展覧会のいい点は、多くの名作椅子を実際に座れたことです。私もウェグナーのYチェア、ボーエ・モーエンセンのJ39、ヤコブセンのスワンチェア、エッグチェアなど大変有名な作品に座ってきました。
建築家の宮脇檀さんによると、椅子の良し悪しは座り心地で決まるものではなくその時々に相応しい椅子がある、とのことでしたが意外にも?どれもこれも座り心地が良かったです。とくにフィン・ユールのNo45,ヤコブセンのエッグチェア、ウェグナーのPP19 ベアチェアなどリラックスできる椅子が座り心地が良かったです。一方Yチェアやボーエ・モーエンセンのJ39などは、リラックスするというよりは食事など作業をするのに合っているように思えました。
ここで耳寄りな情報です。10月1日は都民の日ですが、この「フィン・ユールとデンマークの椅子」展は無料開放となるようです。ご興味のある方は是非お出かけください。