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ショパン国際ピアノコンクール2021まとめー2

[2021.11.21]

ショパン国際ピアノコンクール2021まとめ―1より続きます

<気になった演奏者>


今回のコンクールで気になった(気に入った)演奏(者)をあげて終わりにしたいと思います。

反田恭平

まずは、反田恭平さんです。私は正直言ってこれまで反田恭平さんのこと、それほど興味をもって聴いていませんでした。初めてまじめに聴いたのが、予備予選での演奏でした。その中でバラード2番を弾きましたが、この演奏にかなり衝撃を受けました。同じ曲を多くの人が演奏しますので比較がしやすいのですが、彼の音が他の人と違ってシンフォニックで厚みがあることが良く分かりました。また、技術的にも安定していて鍵盤を叩いて弾くということが全くありません。

今回のショパンコンクールではどの演奏がいいか探したのですが、いい演奏が見つかりました。これは実はコンクールの後の彼のリサイタルの映像です。もちろんプログラムはショパンですが、アンコールでシューマンの献呈、グリーグの曲も弾くのでより楽しめます。

安定した技術と色彩豊かな音色で本当に素晴らしい演奏会です。ノリに乗っている演奏で、これだけ充実した演奏を繰り広げるのは彼にとっても楽しいのではないでしょうか?
今回反田さんはファツィオリの楽器でコンクールに臨むのではないかと噂をされており、ファツィオリで弾いたら結果が違ったかもというコメントもみました。入賞者コンサート↓ではファツィオリの楽器を弾いていましたが、美しい演奏ではありましたが響きがやや単調に聞こえました。

 

JJ jun Li Bui

17歳で6位に入賞したコンテスタントです。1次、2次で彼の演奏を聴いて最も魅了されたピアニストです。ファイナルのコンチェルトではミスが多く入賞は厳しいと思っていましたが、1次2次の点数が高かったためか6位入賞となりました。

彼はダンタイソンの弟子ということですが、ダンタイソンの弟子は優勝したブルース・リウ、前回のケイト・リウ、エリック・ルーなど魅力的なピアニストが多いです。

彼の演奏で良いところは何といってもその音色でしょう。全く力を入れているようには見えないその手からはコロコロとした美しい音色が紡ぎだされます。
別れの曲(作品10-3)の美しい音色から作品10-4の目の覚めるようなテクニックと本当に素晴らしい。さらに最後の舟歌では17歳とは思えない情感で弾ききります。彼が私の息子と同い年とは信じられません。

彼の手がとても好みです。ピアニストというと指が長くてゴツゴツした手を思い浮かべますが、彼の指は長いようには見えません。背も高くありませんから手が大きいということはないと思います。ふっくらとした手で力が全く入っていません。実はこのような手は私の好きな藤田真央さんと非常に似ています。また、反田さんも手のひらは分厚いですが、指が長くてゴツイ手はしていません。このようなふっくらした手の人は、美しい音色を奏でるような気がしていますがどうでしょうか?

SZU-YU SU

台湾のSZU-YU SUさんは、我々家族の中では人気がありました。

その上品な佇まいと演奏は是非とも娘には見習ってほしいものです。2次予選で落ちてしまいましたが、この方のように今回は正統派にとっては上位進出が難しいコンクールだったようです。

京増修史

京増さんは前回もご紹介しましたがヤマハを使用したコンテスタントで、2次予選で敗退してしましましたが、彼の美しく丁寧で誠実な演奏は私の心をうちました。

練習曲10-1は技術的に最高難度の曲なんだそうで、この曲を弾くのはピアニストにとって最高にストレスがあると思います。ポリーニや前回の覇者のチョソンジンの演奏は他を圧倒するような演奏  https://www.youtube.com/watch?v=9E82wwNc7r8 ですが彼の10-1はあくまで優雅で、夢見るようなまるで「ピアノの森」のオープニングのような気持ちにさせてくれる演奏です。

番外編

Kate Liu

Kate Liuは前回3位のピアニストです。彼女は口を開けて鍵盤をほとんど見ずに演奏するきわめて個性的な演奏ですが、今でもファンが多くYouTubeでも彼女の演奏についてコメントする書き込みが多かったです。

その中でも私が一番好きな演奏はこのバラード4番(とアンダンテ・スピアナート)で、今でもしょっちゅう見返しています。今のところこのバラード4番を超える演奏は出会っていません。

藤田真央

今私が最も好きなピアニストです。
反田さんが秀才的なピアニストだとすると彼は”変態的”な天才ピアニストだと思います。その柔らかな手から紡ぎだされる音色はコロコロ・キラキラとして、ちょうど彼が集中的に今取り組んでいるモーツァルトにぴったりです。

こういう音色で弾けるピアニストはなかなかいません。練習で会得したというよりは天性のものだと感じます。彼の凄いところはモーツアルトだけでなく、ラフマニノフやチャイコフスキーなども軽々と弾ききってしまうことで、その才能には恐ろしさを感じます。
“変態的”というのはその演奏に(やりすぎでは?)と思うところもあるからです。そういうところを含めての彼なんだと思っています。

長々と今回ショパンコンクールについて書いてきました。次回こそはクリニックらしいブログを書いてみたいと思っています。

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