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ミニエッセイ#6 「北の国から」

[2021.04.11]

3月24日に俳優の田中邦衛さんが亡くなりました。田中邦衛さんといえば、「北の国から」の黒板五郎役で有名ですが、私にとってはほぼ田中邦衛さん=黒坂五郎といっても過言ではありません。


私は千葉県から北海道の大学に進学いたしましたが、「北の国から」は大好きでドラマスペシャルはすべて見ています。というより「北の国から」をみて北海道に行くことにしたともいえます。私と純君(吉岡秀隆)はほぼ同い年で、ドラマもほぼ年齢と同じように進行していますので、彼らの成長とともに私も年を重ねています。
「87年 初恋」が放送されたときは私は高校生でしたのでそのドラマを見て北海道に憧れたところがあります。

実は当時、内地(北海道の方言で道外の人をさします)から北大に進学した学生の多くは「北の国から」のファンでした。以前クリニックに遊びに来た同級生のTもファンでしたので、大学時代に一緒に富良野に行って「北の国から」めぐりをしたこともあります。そういえばれいちゃんのいた札幌の「ロイヤルホスト」や「天窓の見える喫茶店」にもTと一緒に行ったものです。(そのロイヤルホストや天窓の見える喫茶店はもうないそうですね・・・)

五郎さんの家の前で 友人Tと '91/7/17


以前ブログでとりあげた北大オーケストラのT先輩も「北の国から」の大ファンで、一緒に繰り返しビデオをみたことがあります。T先輩の実家は「初恋」に出ていた横山めぐみさんの近所で、オーディションで選ばれて出演することになったときには近所で大騒ぎになったことや、横山めぐみさんは足がとても速かったことなどを教えてくれたものです。(そう言えば純君の家を飛び出して走り出すときの走り方は陸上選手のような綺麗なフォームでした。「全力で走って」って指導されたのではないでしょうか?)


「北の国から」がどうして自分の心をうつのか?色々な理由があると思います。
さだまさしさんの音楽、北海道の美しい自然と映像、五郎さん・純・蛍・地井武夫たちをはじめとしたまわりの役者さんたちの素晴らしい演技、倉本聰さんの脚本、撮影にかけた長い年月、どれが欠けてもあのような素晴らしいドラマにはならなかったように思います。


勧善懲悪・ハッピーエンドのドラマや映画が多い中で、苦労しても報われない(ように思われる)彼らの人生は、我々の現実と重なるところが多くそれが心をうつのだと思います。
長い年月をかけて撮影されたこのドラマはドラマというより現実の生活をみているようで、もう20年近くも放送されていませんが、「五郎さん最近見ないけど元気かな?純や蛍はうまくやっているのかな?」など今でも五郎さんや純・蛍が北海道で生活しているような気になってきます。


先日「87年 初恋」の再放送をテレビで久しぶりに観ました。「北の国から」はこれから何度でもくりかえし観たいドラマですが、彼らが待ち受ける厳しい人生を思うと、何とも言えず苦しいような切ないような気分になるのも事実です。そんなドラマはこれからはもうできないでしょうし、彼らと同じ時代を過ごせたことを幸運に思っています。


田中邦衛さんのご冥福をお祈りいたします。

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