マイナ保険証の義務化報道で考えたこと
当院ではこの10月からマイナンバーカードでオンライン資格確認が可能となりました。と言われても、一体何のことか分からないかと思いますが、ちょうど先日河野太郎デジタル相が2024年までに保険証は廃止するという報道があり、一気に国民に知れ渡ることとなりました。
詳しくはこちらをご覧いただきたいのですが、要するに今までの保険証は廃止して、マイナンバーカードを保険証代わりに使用するということで、医療機関のほうはマイナンバーカードを読み取る機械などオンライン資格確認のシステムの導入を2023年4月までに義務付けると言われて大混乱となっています。
日本医師会はオンライン資格確認の導入には賛成とのことですが、システム導入に費用がかかること、さらに月々の維持費用や保守などに費用がかかることや、病院側としては窓口での説明など仕事量が増える割に恩恵がないことなどから末端の医師会員から戸惑いと、恨みの声があがっています。
ちなみに当院での導入の費用は今後助成金を申請する予定ですが、残念ながら助成金ではすべては賄えない額でしたし、月々の維持費用は当然自腹?です。現時点で機器の導入の恩恵というのはほぼないと思っています。
それと、2023年4月までにすべての医療機関に導入することはできないと思っています。何しろ導入業者は殺人的な忙しさで仕事をしなくてはいけなくなっているようですし、そもそもオンライン資格確認に必要なPCが用意できないのではないのでしょうか?
では保険証の廃止に反対かというとそうではありません。将来的にそうなるのは仕方がないのかなあと思っています。我々日本人は残念ながら今後人口がどんどん減って働く人も少なくなってきます。少ない人口で効率的な仕事をこなすには無駄な仕事をなくしていかなくてはなりません。そのためには多くの行政の仕事をデジタル化していく必要があります。
たまたまですが、ここ最近にマイナンバーカードを利用して大変利便性を感じたことがありました。一つは印鑑証明書の発行です。これまでは区役所の窓口に申し込みをして、所定の用紙に記載をして身分証明書を見せないといけませんでしたが、マイナンバーカードがあったので、夜コンビニへ行ってものの1分で発行できました。もう一つはワクチンの接種証明書です。こちらもマイナンバーカードをスマホで読み取るとすぐに接種証明書が表示されました。
これらの証明書を発行するという作業は(恐らく)経済的な価値がほとんどないのではないかと思います。自動的に発行できる証明書に、これまでであれば役所へ行く時間や対応する役所の職員の仕事が費やされていたのですが、残念ながらそこまでの時間と人員の余裕は我々にはなくなってきているということです。
印鑑証明書は助成金の申請に必要なのですが、そもそも何で印鑑証明書が必要なのかよく分かりません。我々の医療界ではデジタル化に必要な書類までも郵送やFAXでやり取りしたりするかなりアナログな世界で_| ̄|○くることが多々あるのですが、仕事を頼むときにはできるだけデジタルな方法でできないか検討して依頼してほしいものだと日々強く思っています。